2009年7月17日金曜日

hon:技術大国・日本の未来/西澤潤一 [★★★★☆]

この本は、1993年 に書かれました。技術大国・日DVC10089
本の立場は確固たるものになり、バブルでアメリカが戦々恐々とし、まさに日本人の心までもバブってた時期です。といってもその頃僕には恐竜戦隊ジューレンジャーバブルが訪れていたので、世論の事など全く分かりませんが。

ともかく、そんなマスコミ・世論ともに技術大国ニッポンと驕り高ぶってることに嫌気がさした筆者が、喝を入れるために書いた、そんな感じの本です。何しろ序章の題が「日本の科学技術は21世紀までもたない」ですから、この本がどんだけ辛口かが分かると思います。しかし、西澤氏は東北大学総長を務めた経験のある、間違いなく日本の科学技術の最先端に居た1人です。ご自身の経験から喝を入れているので、どんな辛口もかなりの信ぴょう性があり、こりゃ日本やばいな、と思えます。

面白いと思ったのは、日本の科学技術の急速な発展の謎です。これについて、欧米諸国からの技術供与はもちろんの事ですが、そういったものが一切なくとも、「この技術は実現できる」という事実だけでも多大な影響を及ぼすと述べています。どんなに難しいものでも、「出来る」まではかなりの試行錯誤と忍耐、疑心が付きまといますが、「出来る」と分かればその方向に向かって何も考えず猛進できるからです。後発である日本はその点有利でしたが、表面上アメリカと肩を並べるようになった日本は何を追いかけるのか、地位を維持できるのか、憂うのも当然の事です。

また、喝ばかりではなく、未来はこうなる!といったことまで言及しています。青色LEDや日本の半導体産業など出てくるので興味深いです。
アメリカの科学技術衰退を予想するなど、様々な”予言”も登場します。

15年位前の本なので、今と照らし合わせてみるとかなり面白く読めます。また、理系人としての姿勢、どうあるべきなのかが目が痛くなるほど書いてあるので、その道の人には是非オススメしたいです。

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